エレファントカシマシ

1981年結成。1988年デビュー。
メンバーは宮本浩次(Vo.司会進行)・石森敏行(G)・冨永義之(Dr)・高緑成治(B)の4人組。
デビュー以来、1部のロックファンから熱狂的支持を受けるも、7枚のアルバムを発表後レコード会社との契約が終了。
路頭に迷うも劇的に再デビューを果たし(1996年)、ブレイクするに至る。
なんといっても、バンドの中心人物宮本浩次が破格の人。目が離せません。

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エレファントカシマシ「東京の空」




★★★★

















94.05.24
release
「右向け右」    ★★★

エレファントカシマシ、7作目エピック時代最後のアルバムです。この後契約が切れて再デビュー、快進撃となったことはファンには有名です。で、そんなファンの間でも大傑作であるとされているこの「東京の空」。後から聴いたものからすれば、そこまでの大傑作かなーというのが正直な印象です。

まず、音がしょぼく感じます。いまだ他人のプロデュースにさらされたことのないその音は、近年のインディーズバンドより素人っぽさがあります。
エレカシはこのアルバム以前は「生の音が一番だ!」という信念に基づき、ほとんどオーヴァーダビングをしていなかったみたいで、レコード製作における常識的、基礎的なテクニックをあまり使っていないのです。
例えば「誰かのささやき」のボーカルのダブルトラッキングとか、普通はありえない素人っぽい使い方なんですよね。もう教科書にのってる曲かよ!ってくらいベタな輪唱で(笑)。

さらにその声もね。まだまだ硬いというか力入りすぎというか。自然な感じじゃない気がします。1stや最近作である「風」の伸びやかな、ナチュラルな発声と聞き比べるとあきらかに違います。

確かにそれまでのアルバムと方向性をがらっと変えた、生まれ変わったかのような劇的な作品だったということはわかります。
でも、その後を知っているものにとっては、この変化はまだ助走にも達していない、ただ体の向きを変えただけというように映るのです。行く場所が見えてきて動こうとしているけど、体はまだその場所にとどまったまま、みたいな。

なんかさもこのアルバムが良くないみたいな感じになってきましたが、そういうわけではないです。とても愛くるしい曲に満ち溢れたいいアルバムだと思います。エピック時代とその後の快進撃をつなぐ架け橋的な。

個人的には、宮本先生が弾き語る「涙」と、いきなり部屋の中から周りの人を巻き込んで昇天していってしまう激烈ロックナンバー「真冬のロマンチック」が特にお気に入りです。

しかし、このアルバム制作時宮本先生はすでに28歳なんですよね。それでまだ助走にも入っていないという。遅咲きの花男。大器晩成。そんな言葉がうかびますね。 

’04.11.24(アトム)


「終わりにして始まり」   ★★★★★

エレファントカシマシの歴史のなかで、重要な意味を持つこの一枚。

まず、当時バンドが置かれていた状況を簡単に説明します。
一部の熱狂的信者はいたもののセールスは右肩下がり、さんざん我慢してきたさすがのエピックソニーも、契約打ち切りを検討。肝心の宮本先生の楽曲も次第に閉じられた世界へ、果ては自らの内面のみに向かうかのような風通しの悪い表現になりつつあった時期です。

先に言ってしまうと、このアルバムのリリース後、切れました。契約。

じゃあこのアルバムは駄盤なのか?
とんでもない(セールスはともかく)。

それまでのエレカシ魂を引き継ぎつつ、新しい購買層に切り込んでいく気概にあふれた、大名盤となっております。
売れなかった理由はただひとつ、それまでの活動のあまりの地味っぷりに尽きると思います。これで契約を切ったエピックは責められない。売れない時代7枚もじっと我慢して出しつづけたんですよ?むしろ「コレで売れなかったら、もう環境を変えてやったほうがいいんじゃないか」っていう親心まで感じます。勝手な解釈ですけど。

さて「東京の空」です。

具体的になにが変わったかというと、まず「ちゃんとしてる」んです。ちゃんとしてるくらいで褒められるのもどうかと思いますが、「浮世の夢」「生活」あたりを聴いておられたひとは、強く思ったことでしょう。「ちゃんとしたな」と。

そう、エレカシの楽曲は「ちゃんとする」だけで届くんです。

それまで無かった、万人にアピールする美メロ・美アレンジの#2「もしも願いが叶うなら」#5「誰かのささやき」。
しかし#8「極楽大将生活賛歌」#9「男餓鬼道空っ風」あたりでは、かつてのエレカシテイストをも突き抜けた堂々のぶち切れっぷり。
そして浪々と唄いあげる大作(10分超えます)#3「東京の空」。

もうお腹いっぱいです。エレカシの魅力がみっちり詰まった一枚です。

全ての曲のベクトルが「外」を向いています。それがいちばん大きな変化だと思います。聴いてて気持ちいい。

そしてエレカシは契約切れをものともせず走りつづけ、その後のブレイクに繋がっていきます。
そんな分岐点のアルバムであり、旧エレカシと新エレカシをいちどに味わえるおいしい一枚です。

’04.10.20(トモヤ)

エレファントカシマシ「good morning」




★★★★
















’00.4.26 
release
突然の爆発

いやあびっくりしましたね。何といってもこのアルバムは先行シングル「ガストロンジャー」に尽きるでしょう。

'97年発売のシングル「風に吹かれて」のカップリングである「さらば青春」において「あぁ 俺は 何度も何度も叫んだけど/あぁ もはや 君は 遠い遠い思い出の中」と歌って以来、宮本浩次は本当に叫ぶことをやめてしまいました。優しいメロディー、優しい歌声のみを奏でるようになったのです。
それは、たしかに宮本のひとつの魅力を突き詰めた活動ではありましたが、ファンは、彼のもう片方の魅力である「絶叫」を心のどこかで待っていました。

そして届けられた「ガストロンジャー」。もう、熱狂しました。繰り返し、何回聴いたかわかりません。ただ宮本が絶叫しているというだけではなく、はじめて打ち込みドラムを導入、そしてバンドメンバーを排除したセルフレコーディングという形によって創り出された、今まで聴いたこともなかった音世界がそこにはありました。
この曲、繰り返し聴いてると、徹夜明けにアルコールを流し込んだような、異常な覚醒状態を疑似体験できるんです。とてつもないエネルギーを持った曲だと思います。

もちろんこのアルバムも、数年溜め込んだエネルギーが爆発してます。踊れます。わくわくできます。
やはり宮本浩次は、やりたいようにやる事で、ただそれだけで人を引きつけることができる男なんです。まさに「快作」と呼ぶにふさわしいアルバムです。

最後に、バンドメンバーを排除したレコーディングについての宮本のインタビューの一節を・・・。

「音楽をやっている人間としては、非常に屈辱的で悲しい思いをしたと思うんです。ただ、同時に中学時代からの友達ですから、僕がやりたいようにやるところを見るのが好きだってところも、あると思うんですよね」(金子達仁「21」より)

うん、非常に前向きだw
男よ行け!ですな。

’05.03.15 (トモヤ)

エレファントカシマシ 「扉」




 ★★★★★ 










2004.3.30 
release
「ベストアルバム」

エレファントカシマシ14枚目のオリジナルアルバムです。
ついにやってくれたと言うほかないです。まさに傑作。

エレカシというバンドは、他に類を見ないほどにバンドのイメージを変化させてきたバンドです。
怒りの時期、悟り済ました時期、一転ポップな曲で売れようとした時期。エレカシをまったく知らない人が「生活」と「愛と夢」とを聴き比べれば、とても同じバンドとは思わないでしょう。

これは、バンドの中心である宮本浩次が、常に自分たちのポジションに違和感をおぼえ、もがいてきた結果だと思います。エレカシは決して孤高のバンドなどではなく、宮本浩次は、その豪快なイメージとは裏腹に、しょうもない事に思い悩む、つまり僕らと同じような人間だということです。彼が特別なのは、その思い悩みっぷりが尋常ではないという一点に尽きると思います。

「扉」というタイトルの、このアルバム。ここには、思い悩んで紆余曲折をつづけた宮本の、すべての表情が収められています。怒り、悲しみ、そして喜びと優しさ。「24人のビリー・ミリガン」で、すべての人格を統合した人格「教師」が出現した時のような感動。

あらゆる時期のエレファントカシマシに繋がっている、こんなアルバムをファンは待っていたと思います。

’04/05/27(トモヤ)


エレファントカシマシ 「風」




★★★★










’04.09.29
release
「僕らは未来へズれていく」 ★★★★

前作「扉」から、わずか半年でのリリース。宮本先生絶好調なんでしょうねー。
もうエレカシは、リリースタイミングがどうとかいうレベルにいないと思うので、どんどんやっちゃってくれて結構です。むしろ大歓迎です。

エレカシと言えば、生きるか死ぬかのぎりぎりの表現が代名詞なバンドですが、ここ数作でちょっと変わってきてる気がします。「生きる」の部分は相変わらずこの一瞬完全燃焼で暑苦しいんですが(いい意味でね)、「死ぬ」部分がなんちゅうか、「このひと明日にでも死ぬんじゃないか」っていう感じが無くなってきた気がするんです。
より現実的に、この先何十年生きながらえてから死ぬ自分をイメージしてるというか。

若さにまかせて生き死にの表現をやってた頃より、ある意味怖いです。「年とって余計なモンが削がれて楽に生きれるようになったよ」とか言ってるおっさんの逆です。過去をすべて背負い込んで重くなった体で、今までの人生の何倍も重いであろう「未来」を引き受ける覚悟。明日死ぬことより、この先何十年生きることの方が怖いことなんですよね。

普通に生きてる僕が無意識に目を背けてる部分を、エレカシは遠慮なく抉ってきます。
ああ、あと何十年かは生きるのか。生きてるからには頑張ろう。死にたくないもんな。

’04.10.03(トモヤ)



「平成理想音楽像」 ★★★★

エレファントカシマシ、15作目のアルバム。前々作、前作に続いてまたまた半年ペースでのリリースです。宮本先生の好調さはもちろんのこと、レコード会社との関係も好調そうで嬉しいですね。

で、今作の内容ですが、非常にいいです。とっても聴きやすい。プロデューサーという、客観的な視点を導入することによって熱く激しくかつ抑制の効いた素晴らしいサウンド世界が生まれています。

前作で、宮本先生の思いをぶつけるツールとしてのエレファントカシマシは、ある意味最高潮を迎えたと思います。「俺の道」も「扉」も一回目に聴いた時から衝撃とともに先生の感情が渦を巻いて襲ってきました。そのサウンドは、最高級のものであったと思います。

でもですよ。その激情が濃すぎるゆえに、生活の隙間に入り込まないアルバムだったんですよね、個人的には。他のことをしながら聴けないというか。

視点を変えて、純粋に音楽の機能、CDの機能というものを考えてみた時、今作は大いなる進化を遂げていると思うのです。

個人的には既に聴いてる回数が違ってきてます。


「定め」とか最高ですよ。宮本先生しか作れ(ら)ない日本的叙情メロディーをディスコのリズムで!
「DJ IN MY LIFE」の広島弁もくせになるなあ。

今作を「スタートライン」と語った先生。
はやくも次回作が待ち遠しいですな。

’04.10.19(アトム)

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