「バカは不幸が好きなんだ」
ハイロウズのサード・アルバム。ジャケットデザインはなんとあの松本人志画伯によるもの。なんでやねん、とつっこみをいれたくなるところですね。
そしてなによりもファンにはハイロウズ屈指の名曲、「千年メダル」「不死身のエレキマン」が入っているということで有名なアルバムです。
1、2枚目は完全にロックの初期衝動的なものだけを抽出して表現していくというコンセプトで作られていましたが、本作はそういった傾向は残しつつも変化がはじまってきています。S.E.や、オーケストラを導入したところから、初期衝動以外のなにかを探し始めている様子がみてとれます。とはいえ、表面的にはまだまだアホさ、楽しさ全開なので、中途半端な不完全燃焼っぽい感じは否めないです。個人的には大好きなアルバムなんですけどね。
全体的にヒロトはいつもどおりで名曲を量産してます。前述の2曲に加えて、「ブカブカブーツ」とかもかっこいいです。
問題(!?)はマーシーです。マーシーならではの叙情性や文学性なんかの要素を、まだハイロウズでは頑なに限定して出してない時期なんですよね。正直、この時はマーシー才能枯渇?と思っていらぬ心配しちゃいました。曲調が単調な気がしたんですね、特にアップな曲で。次の「バームクーヘン」以降マーシーは「限定解除したんだ」ということで、その使ってないカードをばんばん使ってくるんですけど。
とはいえ、いま現在このアルバムで一番好きな曲。
それが1曲目のマーシー作「コインランドリー」です。
この曲あんまり注目されてないみたいですけど、もっとスポットライトを当てても良い曲だと思います。1曲目に位置している意味を感じ取ってみてほしいです。
コインランドリーでの俯瞰から深い人生論までいく2分弱。バカっぽさに隠れたマーシーの確信。
「バカは不幸がすきなんだ」・・・ブルーハーツを辞めてまで「グッドバイ」したかったのはこのバカな奴らじゃないでしょうか。
「想像力それは愛だ」
「ストレスこそが活力元だ」
「毎日おもい通りだぜ」
かっこいいです。
あと、本作から迎えられたマスタリングエンジニアの大御所ボブ・ラディクによるミックスが、ちょっと高音がざらつき気味なのが残念。聴いてて疲れちゃうんですよね。この後はめちゃくちゃいい相性になってグッド・サウンドを演出していくんですけど。