「日本ロックの集大成」
二年半の沈黙を破ってリリースされたこの「キング・オブ・ロック」。
このリリースによって真心は劇的な変身を遂げたのでした。
まず、バンド名から「THE」が取れました。本当はバンド名自体を変えようかという話もあったらしいですが、結局シンプルにそぎ落とすことにしたそうです。まあ、バンド名といえば看板なわけで、それを変えようというのはよほどのことなわけです。まずそれがひとつ。
そして「キング・オブ・ロック」というタイトル。それまで真心といえば、フォークのイメージで、二人でアコギを持って歌うという感じでした。それがいきなり「ロックの王」宣言ですからね。ファンは驚きましたよ。
なぜ、キングなのか。
それは、真心が、自らをメンバー二人によるユニットである、という特徴を自ら認識してそれを生かすということに自覚的になったことから生まれました。
普通のバンドじゃない自分達は、曲によって最適なリズム隊を組めるじゃないか!ということに気づいたのです。
で、このアルバムはバンドブームの集大成、日本のロックシーンのおいしいとこどりによって成り立っているのです。
レゲエの曲はフィッシュマンズのメンバー、ホーンが欲しけりゃおなじみ、スカパラ、グレイト3いいセンスしてるよな、来てもらおう、スーパージャンキーモンキーとどしゃめしゃなヘヴィーサウンドやってみよ、とかね。
特にレピッシュの達がゲストでベース弾いてるのには歓喜しました。昔から自分も「カッコイイベース弾くなあ」と思い続けてきたので、正解をもらった気がしたんです。
音楽的には、レイジとかレッチリ、エレラブ経由でラップを導入しつつのミクスチャー。もちろん得意のフォークテイストも見事です。ヨーキング曰く「半年先取りセンス」を聴かせてくれます。
あとはなんといっても、倉持がキャリアを通じてもっとも生きていることに自覚的である、ということが名盤を際立たせています。
彼は骨折したり尿道結石(#11ストーンを聴いてみてください)して、おおいに目覚めたらしいのです。
この確信が鳴っている言葉の数々!しかもこのアルバム、歌詞カードがついてないんですよね。耳かっぽじって聴け!ってかんじでしょうか。
オーケンも十年に1枚の作品だと絶賛していた今作。
今聴いてもそのテンションに驚かされます。カッコイイ!
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