大事な一枚
スピッツの2nd、'91リリースです。
今聴くと、正直音のショボさ、弱さは否めません。
しかし、スピッツの原点とも言える「儚くも一本芯の通った」表現を、よりはっきりと聴きとることができます。音がゴージャスになっていないぶん、そのへんがより強調されるわけですね。
ところで「名前をつけてやる」というタイトルの意味は、なんでしょう。
ジャケ写のねこに名前をつけてやる?ノンノン。
タイトルチューン#3「名前をつけてやる」を聴いて、僕は草野マサムネの、もっと大きな覚悟を感じました。
古代より、日本人は、得体の知れない大きな力に名前をつけることで、その恐怖を克服しようとしてきました。風神然り、雷神然り。名前をつけるという行為は、気持ちの上だけでもその現象を支配下に置くという意味合いがあったのではないかと思うのです。
マサムネも、名前をつけることで、漠然とした「こわいもの」を何とかコントロールしようとしたのではないかと。実際、この頃のスピッツからは、自分をとりまく得体の知れない世界への不安を端々から感じ取ることができます。この曲は、そんな世界への宣戦布告じゃないかと思うんです。
最近の、揺るぎ無い何かを手に入れたかのようなスピッツとは違い、揺れながらも何かを掴もうとする、この時期のスピッツが僕は大好きです。僕が未だに揺れてるからなんでしょうけど。